
2026年3月10日 〜 オシントUPDATE
中東情勢
イラン、最高指導者にモジタバ・ハメネイを任命
イランの専門家会議は、米国とイスラエルの攻撃で死亡したアリ・ハメネイ師の後継として、息子のモジタバ・ハメネイを新たな最高指導者に任命した。56歳の聖職者で、これまで公職経験はないが長年有力な後継候補と見られてきた。任命は聖職者層や革命防衛隊の支持を受け、米国・イスラエルとの戦争が続く中での決定となった。
モジタバ・ハメネイ就任、米国との対決路線を強化
モジタバ・ハメネイの最高指導者就任は、イランが米国との妥協ではなく対決と報復を選んだことを示すと分析されている。彼は革命防衛隊と密接な関係を持つ強硬派で、より対外強硬な外交と国内統制の強化が予想される。戦争拡大、経済危機、国内不安の中での権力継承となった。
ハルグ島:米国が攻撃していないイラン石油の生命線
ハルグ島はイラン石油輸出の約90%を処理する拠点で、最大日量700万バレルを積み出す重要施設である。ここを攻撃すればイラン経済に壊滅的打撃となるが、湾岸のエネルギー施設への報復や世界市場の混乱を招く恐れがある。米国は歴史的にこの施設を「越えてはならない一線」と見なしてきた。
イスラエル空爆、テヘランの石油施設を攻撃
イスラエル軍の空爆がテヘランの複数の石油貯蔵施設を攻撃し、首都に有毒煙が広がった。火災により有害ガスが発生し、当局は住民に屋内退避を呼びかけた。燃料供給が一時的に混乱し、ガソリンスタンドには長い列ができた。
イラン戦争で原油価格が100ドル突破
イランを巡る戦争の拡大により、世界の原油価格は2022年以来初めて1バレル100ドルを超えた。湾岸諸国の生産減少やエネルギー施設への攻撃、ホルムズ海峡の航行減少が供給を圧迫している。混乱が続けば燃料価格のさらなる上昇が予想される。
イスラエルの燃料施設攻撃に米国が懸念
イスラエルが約30カ所のイラン燃料施設を攻撃したことについて、米政府は想定以上の攻撃だったとして懸念を示している。民間向けインフラへの攻撃はイラン国内の政府支持を高める可能性がある。エネルギー市場の混乱拡大も懸念されている。
トランプ氏、イラン戦争終結はネタニヤフと「共同決定」
トランプ大統領は、イラン戦争をいつ終えるかはイスラエルのネタニヤフ首相と協議して決めると述べた。ただし最終判断は自分が下すと強調している。米国とイスラエルの緊密な連携が戦略の中心だと説明した。
イスラエルの対イラン作戦、米情報支援に依存
イラン指導部を標的としたイスラエルの攻撃は、米国の情報・監視能力に大きく依存していると分析されている。ハメネイ師を含む高官殺害には詳細な目標情報とリアルタイム監視が不可欠だった。イラン内部の情報漏えいも作戦成功の要因とされる。
トランプ氏、イラン戦争へのクルド関与を否定
トランプ大統領は、クルド勢力をイランとの戦争に参加させない方針を示した。クルドを加えると戦争がさらに複雑になると説明している。米国と協力関係にあるクルド勢力の参戦は地域拡大のリスクがあると見られている。
シリアのクルド人、イランのクルド勢力に米国との協力を警告
シリアのクルド人は、イランのクルド武装勢力に対し米国と協力する前に慎重になるよう警告している。彼らは過去に米国とISISと戦ったが、後に支援を失った経験を挙げている。米国の関与は不確実だと指摘している。
米イスラエル、イランの高濃縮ウラン確保作戦を検討
米国とイスラエルは、イランの高濃縮ウラン約450kgを確保する特殊部隊作戦を検討している。60%濃縮ウランは数週間で兵器級に転用可能とされる。作戦はイラン軍事能力が弱体化した場合にのみ検討されるとみられる。
トランプ政権、イランへの地上部隊派遣を検討
トランプ大統領は、状況によっては米軍地上部隊をイランに投入する可能性を示唆した。主な目的は高濃縮ウランの確保などとされる。議会では長期戦への懸念が高まっている。
イラン戦争、米国の単独主義を強調
米国が多くの同盟国と十分な協議をせずにイラン攻撃を行ったことで、欧州や湾岸諸国との関係に緊張が生じている。各国は避難対応や経済混乱への対処を迫られた。米外交の単独行動主義が強まっているとの見方がある。
米エネルギー長官、原油高は市場心理が原因
トランプ政権のエネルギー長官は、原油価格の上昇は実際の供給不足ではなく市場の不安心理によるものだと述べた。ホルムズ海峡の混乱やエネルギー施設攻撃への懸念が価格を押し上げている。政府は市場安定策を検討している。
米軍捕虜の主張を米国が否定
イランが米兵を捕虜にしたと主張していることについて、米国は誤情報だとして否定した。米中央軍は捕虜になった兵士はいないと説明している。戦争ではすでに複数の米兵が死亡している。
アジア情勢
中国、トランプ訪中に前向き姿勢
中国は、イラン戦争を巡る緊張にもかかわらずトランプ大統領の訪中を受け入れる姿勢を示した。王毅外相は対話の重要性を強調している。中国は中東エネルギーへの依存が高く、戦争拡大を懸念している。
米中首脳会談、貿易中心の限定的議題か
トランプ大統領の訪中は、米中関係の全面的改善ではなく経済安定と貿易取引が主な議題になる見通しだ。中国は大豆購入や最大500機のボーイング機購入を検討している。関税問題は依然として摩擦要因となっている。
中国、日本の台湾関与に警告
中国の王毅外相は、日本に対し台湾問題に干渉しないよう警告した。台湾統一は不可避だと主張している。日本首相の台湾有事発言や台湾首相の訪日が緊張を高めている。
「デービッドソン・ウィンドウ」:2027年台湾危機説
米海軍のデービッドソン提督が2021年に示した「6年以内に台湾危機」という予測が米国の防衛計画に大きな影響を与えている。2027年は中国軍近代化の目標年とされる。台湾周辺の軍事活動増加が警戒感を高めている。
中国の武器輸入72%減、アジアは軍拡
中国は兵器の国産化により輸入が大幅に減少した。一方でアジア太平洋地域では軍備拡大が進み、日本や台湾も装備調達を増やしている。米国は世界最大の武器輸出国の地位を維持している。
イラン攻撃、北朝鮮の戦略計算に影響
北朝鮮はイラン最高指導者の死亡を報じていないが、米軍の攻撃を強く非難している。指導者の脆弱性を連想させないためとみられる。金正恩政権は対米外交の再検討を迫られる可能性がある。
アメリカ情勢
ハバナ症候群:米政府がエネルギー兵器を実験か
ハバナ症候群と呼ばれる健康被害の調査で、米政府が指向性エネルギー兵器の実験を行っていた可能性が報じられた。マイクロ波などの技術が原因と疑われている。動物実験では人間と似た症状が確認されたとされる。
米空軍、ミニットマンIII核ミサイル試験
米空軍はミニットマンIII大陸間弾道ミサイルの発射試験を実施した。試験弾頭は2つの再突入体を搭載していた。核抑止力の信頼性評価のための定期試験と説明されている。
ニューヨーク市長宅近くで爆発装置
ニューヨーク市長ゾーラン・マムダニの自宅近くで爆発装置が投げ込まれた。装置は爆発しなかったが重大な危険性があった。警察は容疑者を逮捕し捜査している。
米国、キューバとの経済取引を模索
トランプ政権はキューバとの経済合意を検討している。旅行規制の緩和や港湾・エネルギー分野での協力が議論されている。ベネズエラ情勢後の地域戦略の一環とされる。
ヨーロッパ情勢
ウクライナ、ヨルダンの米軍基地防衛を支援
ウクライナは米軍基地防衛のためヨルダンにドローン迎撃専門家を派遣した。ロシアとの戦争で得た対ドローン技術を活用する。米国との協力強化を狙う。
ゼレンスキー大統領、サウジに対ドローン支援提案
ウクライナはサウジアラビアにイラン製ドローン対策の技術支援を提案した。低コスト迎撃ドローンが特徴とされる。湾岸諸国との防衛協力拡大を目指している。
ウクライナ、ロシア油施設をドローン攻撃
ウクライナのドローンがロシア南部クラスノダール地方の石油貯蔵施設を攻撃したと報じられている。施設で火災が発生した。ロシアは複数のドローンを撃墜したと主張している。
EU、ルール中心秩序への依存を再検討
EU委員長フォンデアライエンは、国際秩序だけに頼る安全保障は不十分だと述べた。欧州はより積極的に力を行使する能力が必要だと強調した。地政学環境の変化が背景にある。
イラン製ドローンにロシア技術
キプロスの英国空軍基地を攻撃したドローンからロシア製部品が見つかった。ロシアとイランの軍事協力の深化を示す証拠とされる。地域紛争とウクライナ戦争の連動が指摘されている。
トランプ氏、英空母支援を不要と発言
トランプ大統領は、英国空母の支援は必要ないと発言した。英国は対イラン攻撃には参加しない立場を取っている。両国の間で緊張が生じている。
欧州、世界最大の武器輸入地域に
欧州は2021~2025年に世界最大の武器輸入地域となった。ロシアの脅威と米国への不信感が背景にある。輸入量は過去の3倍以上に増加した。
オスロの米大使館近くで爆発
ノルウェーのオスロで米国大使館近くに置かれた爆発装置が爆発した。建物に軽微な損傷が出たが負傷者はいない。警察はテロの可能性も含め捜査している。
ベルギーのシナゴーグ爆破事件
ベルギー・リエージュの歴史的シナゴーグが爆発で損傷した。負傷者は出ていないが、反ユダヤ的攻撃とみられている。連邦検察が捜査を担当している。
サイバー・技術情勢
米国防総省、軍事特化AIスタートアップと連携
国防総省は汎用AIではなく軍事用途に特化したAIの導入を進めている。退役軍人が設立した企業などが戦場データを基にしたAIを開発している。米陸軍は新AI開発計画「Project Aria」を開始した。
OpenAI幹部、国防総省契約に抗議して辞任
OpenAIのハードウェア責任者が、国防総省との契約に抗議して辞任した。国内監視や自律兵器への懸念を理由としている。契約を巡りChatGPTアプリの削除が増えるなど企業イメージへの影響も出ている。
中国、2030年までの技術戦略を策定
中国は2026~2030年の技術計画で無人戦闘技術やAI、核融合エネルギーなどを重点分野とした。量子技術や宇宙開発、深海探査も強化する。極限状況への備えを重視した防衛戦略も含まれる。
中国、半導体供給不足の責任をオランダに警告
中国政府は、半導体企業ネクスペリアを巡る紛争で供給危機が起きればオランダ政府の責任になると警告した。中国子会社と本社の対立が背景にある。世界の半導体供給への影響が懸念されている。
中国、AIで月の裏側の化学組成を解析
中国の研究チームはAIを使い、嫦娥6号ミッションのデータから月の裏側の化学組成を解析した。南極エイトケン盆地の物質分布を初めて詳細に地図化した。将来の月探査計画に重要な情報となる。
中国、量子通信に向けた新技術を発表
中国の研究者が高純度の光子対を生成する量子光学装置を開発した。暗号通信や医療画像、センサー技術への応用が期待されている。量子技術競争で重要な進展とされる。
国際インテリジェンス戦略研究所(IGSI)