
2026年3月11日 〜 オシントUPDATE
アメリカ情勢
2028年大統領選、トランプ氏はルビオ氏を注視か
トランプ大統領は共和党の寄付者に対し、2028年の次期候補としてマルコ・ルビオ国務長官とJD・ヴァンス副大統領のどちらを好むか非公式に尋ねた。出席者の多くはルビオ氏を支持した。ヴァンス氏が依然として有力だが、イラン紛争を通じた外交面でのルビオ氏の活躍が評価を高めている。最終的な支持表明はないものの、トランプ氏は自身の「キングメーカー」としての影響力を示している。
対イラン紛争の終結時期を巡りトランプ氏が揺れる
トランプ大統領は、イラン軍の大部分を破壊し紛争は終盤にあると述べる一方で、ホルムズ海峡の封鎖が試みられれば攻撃をさらに激化させると警告し、矛盾するメッセージを発信している。米軍は1週間で3,000以上の標的を叩いたが、完全な勝利には至っていないとしている。この紛争は世界のエネルギー市場を不安定化させ、各地で死者を出している。
トランプ顧問団、政治的打撃を恐れ紛争の早期出口を提言
トランプ氏の顧問らは、紛争の長期化による原油価格の高騰や中間選挙への悪影響を懸念し、早期の出口戦略(エグジット・ランプ)を策定するよう求めている。すでに米軍兵士に犠牲者が出ており、数千人の米国人が中東から避難する事態となっている。軍事的な圧力の維持と国内での政治的コスト抑制の間で、政権内の議論が続いている。
イラン石油の接収検討、トランプ氏は「時期尚早」と回答
トランプ大統領は、核開発阻止の一環としてイランの石油資源を接収する可能性を否定せず、「検討している人々もいる」と言及した。これはベネズエラのマドゥロ拘束後に石油権益を確保した前例を踏まえたものだが、実現すればイラン産原油の8割を輸入する中国との関係悪化は避けられない。現時点では公式な計画の確認を避け、慎重な姿勢を見せている。
エネルギー価格抑制のため、一部制裁の免除を検討
トランプ大統領は、中東での戦争によるエネルギー価格急騰を抑えるため、一時的に石油関連の制裁を免除する準備を進めていると述べた。具体的にはロシア産原油の輸出制限の緩和などが取り沙汰されており、市場供給を増やすことが狙いだ。しかし批判派は、こうした措置がウクライナ侵攻を続けるロシアへの圧力を弱めると警告している。
イラン紛争を巡る徴兵制の可能性を否定せず
ホワイトハウスの報道官は、対イラン作戦における徴兵制の可能性を明確には否定せず、大統領があらゆる選択肢を排除していないと強調した。現時点で地上軍投入の計画はないとしているが、トランプ氏は「相応の理由」があれば派兵の可能性があると述べている。実際に徴兵を行うには議会の承認が必要であり、この発言は各方面から強い反発を招いている。
キューバ情勢:「友好的な乗っ取り」の可能性を示唆
トランプ大統領は、深刻なエネルギー・資金不足に陥っているキューバについて、米国が「友好的な乗っ取り」を行う可能性に言及した。詳細は不明だが、ルビオ国務長官がこの問題を担当しており、人道危機への介入を示唆している。キューバ政府は公式な交渉を否定しているが、非公式な接触があったとの報道も出ている。
中東情勢
濃縮ウラン奪還には米軍の大規模地上部隊が必要との見解
イランの地下深くに保管されている高濃縮ウランを回収・無力化するには、空爆だけでは不十分であり、大規模な地上部隊投入が必要だとの分析が出ている。特殊部隊だけでなく、後方支援や放射性物質管理を含め、数百人規模の兵力が必要になる複雑な作戦になると予測されている。空爆で破壊できない地下施設への潜入は極めてリスクが高く、慎重な議論が行われている。
イランの暗号通信を傍受、国外のスリーパーセルへの指令か
米国当局は、最高指導者ハメネイ師の死後に国外の潜伏工作員(スリーパーセル)へ向けた「攻撃の引き金」となる暗号通信を傍受した。ネットや携帯を使わない無線通信による指示とみられ、警察当局は不審な周波数の監視を強めている。米イスラエルの攻撃に対する潜伏工作員による報復テロへの警戒が高まっている。
イラン、攻撃停止まで石油封鎖を継続すると警告
イラン革命防衛隊は、米イスラエルの攻撃が止まるまで中東の石油輸出を阻止すると宣言した。トランプ氏はこれに対し、さらなる激しい攻撃を警告している。この緊張により原油価格は一時120ドルに迫ったが、紛争の早期終結への期待から現在は90ドル以下まで反落した。投資家はトランプ氏の強気発言の裏にある「早期解決」のサインを注視している。
イラン高官「長期戦の準備はできている」と強調
イラン最高指導者顧問は、米国との長期戦を覚悟しており、湾岸諸国を標的にして米国へ圧力をかけ続けると述べた。新指導者モジタバ・ハメネイの下で団結と対決姿勢を鮮明にしており、現時点で外交交渉は拒否している。イラン側はエネルギー市場や海運ルートを混乱させることで経済的痛みを与え、終戦を引き出す狙い。
イラクが再び米軍と親イラン勢力の戦場に
イラン支持の民兵組織がイラク国内の米大使館や軍事施設をドローンなどで攻撃しており、米軍はこれに対して防衛的空爆を実施している。米軍作戦「エピック・フューリー」は民兵組織の弱体化と抑止を目的とするが、暴力の連鎖がイラクの不安定化を招く懸念がある。イラクが地域紛争の第2戦線となるリスクが高まっている。
イスラエル、中東諸国との軍事・サイバー協力に拍車
イランとの戦争を受け、イスラエルとアブラハム合意署名国(モロッコ、UAE、バーレーンなど)との軍事訓練や情報共有が劇的に深化している。サイバー協力パートナー数も倍増しており、サウジアラビアやシリアのような国交のない国とも非公式接触を続けている。この紛争は中東地域におけるイスラエル防衛ネットワークの形成を皮肉にも加速させている。
新最高指導者モジタバ・ハメネイ氏を巡りイラン国民は分断
ハメネイ師の息子モジタバの就任を受け、支持者が歓迎する一方、反対派は強権政治の継続と抑圧強化を恐れている。SNSや街頭では新指導者への抗議の声も上がり、国民の不満は根強い。支持者は「父親によく似ている」と称賛するが、反対派は米国やイスラエルによるさらなる介入を求めている。
海域で中国船を装いイランの攻撃を回避する船舶が急増
ホルムズ海峡などを航行する船舶が、イランからの攻撃を避けるため「中国人船員」「中国企業所有」といった偽情報を発信している。実際に中国と無関係でも攻撃リスクを下げるための手段として行われており、トランスポンダを切る船舶も相次いでいる。フランスやパキスタンなどの軍艦も商船護衛を開始し、エネルギー供給確保に努めている。
ヨーロッパ情勢
G7、原油高騰を受けエネルギー供給支援の用意
原油価格が一時120ドルに迫ったことを受け、G7は世界のエネルギー供給を支援するため「必要な措置」をとる準備があると表明した。ただし現時点で戦略備蓄の放出については合意に至らず、市場の状況を監視するにとどまっている。ホルムズ海峡の混乱による供給制限への懸念から、備蓄放出は依然として有力な選択肢となっている。
トランプ氏とプーチン氏、イランとウクライナの紛争について電話会談
トランプ大統領とプーチン大統領は電話会談を行い、イラン紛争とウクライナ戦争の終結に向けた道筋を協議した。ロシア側はテヘランとの外交的解決に向けた提案を行ったが、米国側はロシアがイランに軍事支援や情報提供を行うことを警戒している。両首脳は世界のエネルギー市場を混乱させている原油価格の上昇についても話し合った。
プーチン氏、イラン紛争による供給混乱に乗じて欧州へエネルギー供給を提案
プーチン大統領は、中東の紛争でエネルギー価格が高騰する中、欧州への石油・ガスの供給を再開する用意があると述べた。欧州がウクライナ侵攻後に課した政治的制限を脇に置くなら、長期的な協力が可能だとしている。欧州諸国がロシア依存を減らそうとしてきた数年間の努力を、エネルギー危機を利用して揺さぶる狙い。
NATO、トルコ領空に侵入した2発目のイランミサイルを迎撃
イランから発射された弾道ミサイルがトルコ領空に侵入し、NATOの防衛システムによって迎撃された。ミサイルの破片がガジアンテプ付近に落下したが、負傷者は出ていない。トルコへの着弾が成功した場合、NATOの集団防衛条項(第5条)が発動し紛争がさらに拡大する恐れがあるとして警戒が高まっている。
アジア情勢
インド、中東の供給混乱を受け再びロシア産石油へ
ホルムズ海峡の封鎖により中東からの原油調達が困難になったため、インドは再びロシア産石油の購入を増やしている。米国は対ロシア制裁を強化してきたが、市場安定のためインドの精製業者に30日間の制裁猶予を与え、洋上のロシア石油の購入を容認した。中東紛争が皮肉にもロシアの石油収益を抑制する努力を困難にしている。
トルコ、緊張高まる北キプロスにF-16戦闘機を配備
イラン紛争に関連した攻撃が東地中海に波及する中、トルコは北キプロスに6機のF-16戦闘機を配備した。キプロス近海にある英軍基地がイランの攻撃対象となったことを受け、防空と哨戒任務を強化する狙い。ギリシャやフランスも周辺に軍を増強しており、この地域の軍事的緊張が急速に高まっている。
米海軍、インド洋で沈没したイラン軍艦を巡り主張が対立
3月4日にスリランカ近海で米潜水艦がイラン軍艦「イリス・デナ」を撃沈した件で、両国の主張が食い違っている。イランは演習帰りの非武装の儀礼艦だったと主張し「公海上の暴挙」と非難しているが、米軍は非武装ではなかったと否定した。この事件により、紛争が中東を越えてインド洋の海洋緊張にまで拡大していることが浮き彫りになった。
オーストラリア、イラン紛争に伴い監視機とミサイルを派遣
オーストラリアはUAEに警戒監視機E-7ウェッジテイルや最新の空対空ミサイル、兵員85名を派遣することを決定した。アルバニージー首相は、この任務は防衛的なものであり、自国民の保護と民間人の安全確保が目的だと強調している。イランの攻撃が広範囲に及び、国際的な安全保障上の懸念が強まっていることに対応した措置。
トランプ氏、イラン女子サッカーチームの保護を豪首相に要請
トランプ大統領は、帰国すれば家族に危険が及ぶ可能性があるイラン女子サッカー代表チームに対し、亡命を認めるようオーストラリア首相に促した。選手たちは試合中に国歌斉唱を拒否したことでイラン国内で反発を受けている。トランプ氏は豪州が動かない場合は米国が受け入れるとも述べ、国際的な保護を求めている。
国連ドラッグ会議で米中がフェンタニルを巡り対立
ウィーンで開催された国連会議で、米国は中国の工場がカートルに大量の原料を供給していると非難した。中国はこれを「無責任な転嫁」と一蹴した。トランプ・習近平会談を控える中、制裁や関税と結びついたこの問題が両国の緊張を高めている。2025年の合意にもかかわらず、不正輸出の取り締まりを巡る溝は深まっている。
米韓、イラン戦争下でも大規模軍事演習「フリーダム・シールド」を開始
米国と韓国は、中東での戦争が激化する中でも数千人の兵員を動員した定例の合同軍事演習を開始した。韓国軍は約18,000名が参加し、共同作戦の即応性をテストしている。一部の在韓米軍防衛設備が中東へ転用されるとの観測もある中、北朝鮮はこの演習を強く非難しており、新たな軍事挑発の懸念も出ている。
日本、初の国産長距離ミサイルを熊本に配備へ
日本政府は地域緊張の高まりを受け、射程約1,000キロに改良された「12式地対艦誘導弾」の配備準備を加速させている。すでに熊本県の健軍駐屯地に発射機が到着しており、3月末の運用開始を目指している。中国本土も射程に収めるこの新型ミサイルの導入は、台湾有事や中国の軍拡を見据えた防衛力強化の象徴となっている。
日本の「笠佐島」での中国系資本による土地買収が物議
瀬戸内海の人口わずかな笠佐島の土地を中国系投資家が購入し開発を始めたことで、日本の安全保障上の懸念が高まっている。島が自衛隊や米軍拠点に近いため、監視目的での利用を危惧する声が上がっている。敏感な施設周辺での外国人による土地所有を巡る議論が日本国内で再燃している。
サイバー情勢
アンソロピック社、軍事利用を巡る国防総省の制限に提訴
AI企業アンソロピックは、国防総省が国家安全保障を理由に同社との提携をブロックしたことを不当として提訴した。軍は現在、イラン作戦のシステム「Maven」に同社AI「Claude」を使用しているが、同社はClaudeを戦争や監視に利用することに反対姿勢を示している。この対立が法的争いに発展している。
米国の新国家サイバー戦略、専門家から賛否両論
トランプ政権の新サイバー戦略は、対イランなど敵対勢力に対し攻撃的姿勢を打ち出した点が評価されている。一方でロシアや中国からのサイバー脅威を明確に特定していないとの批判もある。実効性を高めるには大統領令による裏付けと具体的な実施計画が必要との指摘も出ている。
イランのスパイ工作員が休眠資産を狙う暗号通信を使用か
イラン政府によるインターネット遮断の影響で、同国関連のハッカーが海外でのサイバー攻撃を維持するため古い手法や代替手段を使用している。スターリンク経由でイスラエルのウェブサイトを乗っ取り、そこから米国インフラを攻撃する「IP偽装」の手法などが報告されている。ネット遮断下でも攻撃を続ける姿勢への警戒が強まっている。
ロシア、SignalやWhatsAppの乗っ取りを狙った工作を展開
オランダの情報機関は、ロシアのハッカーが政府高官や軍人のメッセージアプリ(Signal、WhatsApp)の乗っ取りを狙った世界的キャンペーンを行っていると警告した。偽のカスタマーサポートを装って認証コードやPIN番号を盗むソーシャルエンジニアリングが使われている。個別の被害は出ているものの、アプリ自体の脆弱性ではないと説明されている。
国際インテリジェンス戦略研究所(IGSI)